移転価格税制の実務研究ノート

移転価格税制の勉強の過程。実務のヒントを探しています。

穴を掘って、穴を埋める

当ブログを始めるに当たって、最初の記事として以下の記事を書いた。

tpatsumoritaira.hatenablog.com

要は当ブログは移転価格の専門書を自分で読み、それらを紹介する場として考えていたということで、しばらくはそのような趣旨に則った記事が多かった。しかし、最近は少し趣向が変わり、専門書だけでなく、論文や雑誌記事も参照させて頂いたり、また、実務で生じた疑問点を自分なりに調べた、他人にとってはごく当たり前の内容の記録だったり、というものが多くなってきた。

 

移転価格や税務とは全く関係のない本であるが、いま読んでいる吉川浩満「理不尽な進化 増補新版 ――遺伝子と運のあいだ 」(ちくま文庫) の「あとがき」で、吉川さんはご自身の本の書き方について、以下のように書かれている。

私は自分で堀った穴を自分で埋めるようなやり方で本を書くのだ。初めに躓きがある。原因を探るために地面を掘り返すのだが、土を掘り返したところでそれが見つかるわけではない。躓いたのは地表においてなのだから。そこで今度は掘り返した土を埋め戻すことになる。新たな目標は、もはや躓く余地がないほど地面を平坦にすることだ。その埋め戻し分が書き物になるという次第なのである。

当然ながら埋め戻す土は掘り返した土と同量なわけだから、地面の上になにかが積み上げられることはない。つまり誰の糧になるわけでもない。(P.438)

このブログで行っていることも同じである、と勝手に思っている(自分の「掘り返し方」はお話にならないほど浅く、大変恐れ多いが)。

自分が実務を行う上で、直面したことの中で、引っかかったこと、疑問に思ったこと、もう少し考えてみたいと感じたことを取り上げて、調べたり、専門書や論文を読んで考えたことを、ちょこちょこメモしているだけで、何か世の中にとって新しいことを「積み上げ」ているわけではまったくない。

単に、わからないことを放置しているのが気持ち悪く、それを少しでも解消できる、わかった気になれると気持ちがいい、楽しいと思えるから書いている、と今は思っている。

OECD「新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大に関する移転価格執行ガイダンス」(2)

前回の記事の続き。

tpatsumoritaira.hatenablog.com

今回はOECDによる「新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大に関する移転価格執行ガイダンス」の「第2章」について(及び最後に自分としてのまとめも)。前回同様、以下、「本ガイダンスからの抜粋(下線は筆者)→自分の気づき・メモ」を繰り返す。(本記事に限らずであるが、記述に誤りがある場合はすべて自分の理解不足によるものであり、また、抜粋部分についても切り取り方に問題がある可能性もあるため、正確を期すためには原文・仮訳そのものにあたって頂きたい。)

 

■「第2章 損失及び新型コロナウィルス感染症特有の費用の配分に関する移転価格ガイダンス」より

  • 移転価格分析を実施する際、事業体の行う活動が原因で、「リスクが限定的な」(原文:limited-risk)(すなわち、事業体が比較的低いレベルの機能とリスクを有している)事業体であると特徴づけられる可能性がある。「リスクが限定的な」という用語は一般的に使用されるが、この用語は OECD ガイドラインで定義されていないため、「リスクが限定的な」事業体が果たす機能、使用する資産及び引き受けるリスクは様々であり、それゆえ、リスクが限定的であると説明された事業体が損失を負担すべきか負担すべきでないかについて、その一般的なルールを確立することは不可能である。(パラ38)
  •  いかなる状況下でも、いわゆる「リスクが限定的な」事業体が独立企業間で損失を負担する可能性があるか否かを決定する際には、特定の事実及び状況を考察することが必要となる。これは、「単純な又は低いリスクの機能の事業において長期間にわたり損失が発生するとは考えにくい」旨を記載した OECD ガイドラインに反映されており、したがって、単純な又は低いリスクの機能が短期的に損失を負担する可能性を留保している。(パラ39)
  • 「リスクが限定的な」事業体が損失を負担し得るか否かを決定する際、事業体の引き受けたリスクが特に重要となる。これは、独立企業間では取決めの当事者間のリスク配分が取引の結果生じる利益又は損失の配分方法に影響を及ぼすという事実を反映している。(パラ40)

損失の配分はリスク配分と整合するべきであるため、あるグループ会社のリスクを「限定的」と定義づける場合であっても、その実態をよくみてみる必要があり、その実態に応じて損失負担の是非を検討すべきである、という極めて常識的、ないし言い方を変えれば、「教科書的な」見解の提示にとどまっているという印象を抱いた。

一方で、リスク限定的な会社も「短期的に損失を負担する可能性」 がある、ということを指摘しているのが目を引いた。これは年度単位で区切らずに取引が続いていくビジネスとしては当たり前だが、各国調査の場面では当然とは思われないことも多い。

  • 新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大に対応して、独立当事者は、自身の既存の取決めにおける特定の条件を再交渉しようとする可能性がある。関連者もまた、自身の企業間合意及び/又は自身の商業関係上の行動を見直すことを検討する可能性もある。…関連者間取引の正確な描写により、企業間合意の見直しが比較対象状況に基づき操業している非関連者の行動と合致しているか否かが決定される。(パラ42)
  • 比較可能な状況における独立当事者が自身の既存の合意又は商業上の関係を見直したという明確な証拠がない場合、関連者の既存の企業間取決め及び/又は商業関係の修正は独立企業原則に合致しないということを強調することが重要である。したがって、こうした修正は、慎重に取り扱われ、かつ、当該修正がどのように独立企業原則に則しているかを説明する文書により十分裏付けられる必要がある。(パラ46)

これも「教科書的な」見解という印象である。独立当事者がコロナ拡大に直面してどのように各種取引条件を再交渉したのか、など分かりようがないのでは、と思わざるを得ない。自社がグループ外の独立企業との取引においてどのような条件交渉を行ったかを参照できるのかもしれないが、グループ内企業との比較可能性があるケースは限定されるということと、市場取引では決算年度に捉われずに長期の関係から損得を考えるケースも多いことから、基本的には参照はしづらいと考える。

むしろ、実務への示唆としては、これを踏まえて、コロナ禍前と後とで、グループ内の取引条件を目立つ形で変更することには慎重を期すべき、ととらえた。

  • 新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大の結果、多くの企業は、この世界的感染拡大期の異なる営業状況に関連して例外的かつ非経常的な営業費用を負担してきた。…これらの費用が関連者間でどのように配分されるべきかを決定する際、当該費用が比較可能な状況で操業する独立当事者間でどのように配分されるかを考察することが重要となる。(パラ47)
  • 営業費用又は例外的な費用の配分は、リスクの引受け、及び第三者当事者による当該費用の取扱いに従う。したがって、どの関連企業が例外的な費用を負担すべきかを決定するには、まず、関連者間取引を正確に描写する必要がある。これにより、当該費用に関連する活動を実施する責任者及び当該活動に関連するリスクを引き受ける者が明らかになる。例えば、費用が特定のリスクに直接関連している場合、当該リスクを引き受ける当事者は通常、当該リスクに関連する費用を負担する。(パラ48)
  • さらに、特定の営業費用については、当該費用が事業を営む方法の長期的又は永久的な変化に関連する状況において例外的又は非経常的な費用とみることができない可能性がある点に留意する必要がある。例えば、テレワークに関する特定の費用は、世界的感染拡大の結果として在宅勤務がより一般的となった場合、恒常的な費用となる可能性がある。したがって、当該費用については、例外的な費用としても非経常的な費用としてもみることができず、より一般的な事業活動の方法を反映している場合、当該費用が関係する取引を描写する際や比較可能性分析を実施する際に恒常的な費用として取り扱う必要がある。(パラ49)

パラ48での「例外的な費用の配分は、リスクの引受け、及び第三者当事者による当該費用の取扱いに従う」という指摘が重要と考える。後半の「第三者当事者による当該費用の取扱いに従う」は上記の通り、別のパラでも指摘されている通りだが、前半の「リスクの引受け」次第、という部分が(当たり前のことではありながらも)特に重要で、リスクを引き受ける当事者としてグループ内で決められた会社が、そのリスクが顕在化したことによって発生した費用を負担すべき、ということである。

また、テレワーク費用も安易に例外的・非経常的費用と見なすことはできない、という指摘も面白い。

  • 比較可能性分析を実施する際、特に、新型コロナウイルス感染症に伴い生じる例外的な費用をどのように考慮すべきかを検討する必要があると考えられる。(パラ51)
  • 第一に、例外的な費用は、当該費用が正確に描写された関連者間取引に関係する場合を除き、通常、純利益指標から除外される必要がある。例外的な費用の除外は、信頼できる結果を確保するため、検証対象及び比較対象候補のレベルで整合的に実施されなければならないが、この情報の利用可能性が限定される可能性がある点に留意する。当該費用が可能な範囲で適切に測定され、整合的に処理されるよう徹底するため注意を払う必要がある。  

例外的な費用は比較可能性分析において通常除外すべきだが、検証対象と比較対象取引との間で整合させないといけない中で、コロナ禍で支出された各種費用を両者で整合的に除外するのは難しく(比較対象取引にコロナ費用がどの程度含まれているのかは通常わからない)、従って、検証対象法人側でも安易に「例外」扱いはできないものと理解した。 唯一、可能性があるとすれば、パラ56で「不可抗力事由」として想定され得るとして例示されている「政府機関による活動の禁止(例:製造設備又は小売施設の強制閉鎖)」ではないか。

 

■(個人的な)まとめ・気づき

繰り返しを含むが、ガイダンスから得られた業務への気づきを3つにまとめてみる。

  1. 2020年度のローカルファイルでは、自社及び自グループにとってのコロナ影響、つまり、「どのようなリスクが顕在化したのか」、そして、「そのリスクをどの関連者が引き受けるのか」を記載する必要がある。
  2. 今後怖いのは「比較対象取引の2020年度実績」がこれから出てくることである。検証対象法人の2020年度利益率が、比較対象取引の2020年度利益率レンジと整合していれば何ら問題はないが、以下a/bの状態となる場合が当然あり得る。
    ・a:比較対象取引の2020年度利益率レンジ<検証対象法人の2020年度利益率
    ・b:比較対象取引の2020年度利益率レンジ>検証対象法人の2020年度利益率
    aの場合は日本側で、bの場合は海外側で問題となってくるが、これらにどう対処すればいいのだろうか?
    本ガイダンスでは、TNMMを前提に、これから出てくる比較対象取引の2020年度実績に基づいて、検証対象法人の2020年度損益を「価格調整金」を用いて調整できる可能性について触れられているが、「価格調整金」に伴う関税・付加価値税の問題が解消されていない以上、実務的には「価格調整金」を使える場面はかなり限られそうである。
    そうなると、今後できることとしては、「比較対象取引の2020年度実績」が出てきた後に、検証対象法人の2020年度利益率と比較対象取引の2020年度利益率レンジとの乖離部分を2021年度以降の将来取引に織り込んで、通算での解消を目指すことくらいだろうか。
  3. コロナ禍での例外的な費用の負担は、グループ内でのリスク配分と整合的であるべき。(リスクを引き受ける当事者としてグループ内で決められた会社が、そのリスクが顕在化したことによって発生した費用を負担すべき。)

2.については、さらに、コロナに直面した2020年度の比較対象取引として既存のコンパラブルを使い続けることが適切か、それとも新たなコンパラブルを選定し直すべきか、という比較対象取引選定時の議論もあり、問題は根深い。ただ、実務面では、海外側で一定利益があればよし、赤字であれば2021年度以降の将来取引価格(の調整)を使って通算での議論に持ち込むしかない、という印象である。

OECD「新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大に関する移転価格執行ガイダンス」(1)

OECDによる「新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大に関する移転価格執行ガイダンス」(Guidance on the transfer pricing implications of the COVID-19 pandemic)の仮訳(及び原文へのリンク)が国税庁ホームページに掲載されている。(以下、「(本)ガイダンス」という。)

 

OECDによる本ガイダンスの原文公開は2020年12月である。日本語仮訳の公開日は国税庁ホームページには記載されていないが、各種解説記事のタイミングを見ると2021年2月と思われる。つまり、3月期決算の会社にとってはコロナ禍に見舞われた2021年3月期がすでにほとんど終わりかけているタイミングでの公表であり、実務者の立場としては、このガイダンスの内容を2020年度の期中取引に反映させるのは難しい場合もありそうである。

むしろ今(2021年4月)のタイミングでは、年度終了後に順次作成していくことになる移転価格文書への示唆及び、2021年度(以降)において実務上注意すべきことを拾い上げることを試みたい。

以下、「本ガイダンスからの抜粋→自分の気づき・メモ」を繰り返す。(本記事に限らずであるが、記述に誤りがある場合はすべて自分の理解不足によるものであり、また、抜粋部分についても切り取り方に問題がある可能性もあるため、正確を期すためには原文・仮訳そのものにあたって頂きたい。)

今回の記事では、「概要」、「1.はじめに」、及び「第1章」を、次回の記事では「第2章」を取り上げたい。(「第3章 政府支援…」及び「第4章 APA」は省略。)

 

■本ガイダンスの位置付け(「概要」より)

  • OECD 移転価格ガイドライン 2017 年版(OECD ガイドライン)は、…世界的感染拡大がもたらした特殊な状況下も含めて、移転価格分析を行う際には、引き続き依拠されるべきものである。
  • ...本ガイダンスは、新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大により発生し、深刻化する恐れのある問題に対し、現行の OECDガイドラインを超える特別な指針を新たに策定するのではなく、独立企業原則及び OECDガイドラインをどのように適用するかということに焦点を当てたものである。

 

■「1.はじめに」より

  • 企業は、自社がどのように、そしてどの程度世界的感染拡大により影響を受けたかについて、同時期に文書化するように努めなければならない。(パラ6)
  • …納税者…は、経済的に重要なリスクを特定するとともに、関連者間取引の各当事者が引き受ける個別の経済的に重要なリスクを特定する…(パラ8)

これから作成するローカルファイル他において、自社及び自グループにとってのコロナ影響、つまり、「どのようなリスクが顕在化したのか」、そして、「そのリスクをどの関連者が引き受けるのか」を記載する必要がある。とはいえ、これらは年度が終わった今のタイミングで考えることというよりも、期中の取引時点(ないし以前から)に何かしら考えていたことを文書化する、というものにはなるはずである。(考えていた通りにならないこともままあるが。)

 

■「第1章 比較可能性分析における移転価格についてのガイダンス」より

  • 比較可能性分析に用いられる情報のうち最も信頼性が高いのは、関連者間取引と同時期に行われた比較対象非関連者間取引(同時期非関連者間取引)の条件に関する情報である。(パラ14)
  • …納税者は、関連者間取引の発生時点と同時期(の)非関連者間取引に関する情報を入手する時点にずれがあることにより、独立企業間の条件を判断する際に困難に直面する可能性がある。(パラ18)
  • …通常、2020年度の情報は、最短でも2021年度半ばまでは入手できない。(パラ16)
  • 別の会計年度の独立企業間の比較可能な取引データ(過去の平均収益など)は…今年度のベンチマークとして十分な信頼性を提供するとは言えないことがある。(パラ19)

この年度ずれの問題はコロナ以前から存在している問題である。すなわち、企業側は比較対象企業の過去年度の利益率に基づいて当年度の関連者間取引を実行するしかないが、税務調査においては比較対象企業の「当年度の」利益率に基づいて判断がされてしまう。取引時点では「答え」がないのに、後から出てくる「答え」に合わせた採点をされる。実務者からすると、OECDがあらためてこの問題を取り上げることについて、若干の「白々しさ」を感じなくもない。

  • …世界的感染拡大期において臨時的に、…納税者が自身の申告を行う際に課税年度終了後に利用可能となる情報を考慮することを検討することができる。税務当局は…2020年度の税務申告書の修正を認める柔軟性を発揮することができる。(パラ23)
  • (税務当局は)…税務申告書の提出前に行われる「補償調整」(原文:compensating adjustment)の認容に関して柔軟性を発揮する。(パラ23)
  • 新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大に起因する不確実性に対する一つの考え得る解決策は、関連者間取引に価格調整メカニズム(原文:price adjustment mechanisms)を取り込むことを認めることであろう。これにより、独立企業間の結果を維持しつつ、柔軟性を与えることができる。特に、このアプローチでは、国内法で許容される範囲において、独立企業間価格を確立するためのより正確な情報が利用可能となる後の期間(おそらく 2021 年度)に実施されるインボイス作成の調整又は価格調整金の支払を通じて(原文:through adjusted invoicing or intercompany payments)、2020 年度に関する価格調整が認められるであろう。(パラ30)

上記の「情報の期ずれ」問題に対して、ここでは、いわゆる「価格調整金」に踏み込んだ内容と思われ、実務者にとっては大いに期待を抱かせるものである。「情報の期ずれ」がある以上、事後的にしか「答え」(比較対象会社の利益率実績)は出ないのだから、その 「答え」に合わせて、グループ内での「価格調整金」の収受ができるのであれば、移転価格税制対応の難しさの大きな部分が解決される。

しかし…

  • 調整の結果として生じ得る付加価値税/物品サービス税や関税の影響(本章又は本ガイダンスの対象外)に注意を払う必要があるだろう。(パラ30)

…ということで、「価格調整金」が移転価格税制の理論上は「(一定の条件の下で)使える」はずなのに、実務上、現在は「使えない」大きな要因の一つとなっている付加価値税・関税との関係について、OECDは認識はしているものの、根本的な解決に乗り出すつもりはなさそう、と感じた。これではせっかく「価格調整金」の使用に積極的に踏み込んだガイダンスとなっているのにもったいないし、また、実務上は何も変わらない。

  • 通常の状況下では、比較可能性分析のために複数年度データ及び複数年度の平均値を使用することは、一定の利点を有しているかもしれない。(パラ26)
  • 世界的感染拡大の前ないし後の期間と、世界的感染拡大が進行して経済への影響が甚大であった期間とで相違する経済状況に対処するための実用的な方法として、世界的感染拡大の期間中又は世界的感染拡大の特定の重大な影響が最も明らかであった期間については、別個の検証期間…を設けるのが適切であると考えられる。(パラ27、ただし一部改訳*1
  • 個別の検証期間又はより慎重に制限された検証期間…を使用することで信頼性が向上する可能性がある事例が存在する一方で(パラ27参照)、世界的感染拡大の影響を受ける年度と影響を受けない年度の両方を含んだ通算の期間を使用することで信頼性が向上する可能性がある事例も存在する。(パラ29、ただし一部改訳*2

複数期間の使用については、コロナ禍期間を「別個の検証期間」とするのか、それとも前後の年度との通算での検証期間とするのかについて、両論併記をしている印象であり、実務上の大きな助けにはなりにくい(納税者がどちらの方法で主張しても、当局からは反論され得る)。また、ここでの記載は、パラ26に書かれている通り、OECD移転価格ガイドラインChapter Ⅲ Section B(Timing issues in comparability) の中のB.5 Multiple year dataに基づくものであり、比較対象企業側の複数期間使用について述べられているという理解であるが、実務側からすれば、検証対象企業側の期間についても、単年度に拘るのではなく、柔軟性を見せてほしかった。

*1:原文:As a pragmatic means of addressing divergent economic conditions in the pre-or post-pandemic period, and when the pandemic was in effect and its effects on economic conditions were material, it may be appropriate to have separate testing periods (and periods considered for price setting) for the duration of the pandemic or for the period when certain material effects of the pandemic were most evident.

*2:原文:Just as it may improve reliability to use separateor more carefully circumscribed testing periods (or price setting periods) in some fact patterns (see paragraph27), in other fact patterns the use of combinedperiods (that include both years that are impacted by the pandemic and years that are not impacted) may improve reliability.

移転価格税制と仕事と私――どこへ向かうのか?(2)

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前回の記事の続き。

tpatsumoritaira.hatenablog.com

 

■将来の法人課税のもう一つのあり方 

前回の記事の論考①*1には、今後の法人課税のあり方として、仕向地主義課税とは別の方法も提示されている。このブログでも過去に言及したことのある「定式配賦」(フォーミュラ方式)である。以下は論考①の「Ⅲ. 定式配賦(Formula Apportionment, FA)」及び「定式配賦」を若干変形したような「Residual Profit Allocation」についての、本論考の要約メモである。

■Ⅲ. 定式配賦(Formula Apportionment, FA)

  • 法人税の向かう別の方向性としてFAがある。現行の税制では各国で生じた利潤はその国の税率で課税されるが、FAでは、企業グループの全所得を合算して、定式により各社に課税ベースを割り振る。割り振る際には、典型的には、資本、労働、売上の三つの分割要素を用いる。
  • FAのメリットとしては、移転価格操作などによる国際的な租税回避が防止できること、当局・企業側の管理コストが低下すること、一方でデメリットとしては定式を利用した操作が行われる余地があること、実務的・政治的な難しさ、がある。

■Ⅳ.Residual Profit Allocationとは何か

  • RPAでは、利潤全体が通常利潤routine profitsと、残余利潤residual profitsに分けられ、routine profitsは、発生費用への一定率のマークアップとして定められて立地国で課税、routine profits以外のresidual profitsに対しては定式配賦が適用される。一種の妥協案。

 

前回記事冒頭で、現在の自分自身の仕事の中心である移転価格税制というものがなくなることへの不安(?)に触れたが、前回記事で見ていた国際課税の今後の方向性としての「仕向地主義課税」、あるいは上記で取り上げた「定式配賦」(RPAも)のいずれにしても、移転価格の操作は全く意味を持たなくなるものであり、その意味で、どちらに向かうにしても、移転価格の操作を防止する目的で制定されている現行の移転価格税制はその存在意義の大きな部分を失うと理解した。

 

■個人的な感想 

個人的な感想を言うと、論考①②*2ともに、仕向地主義課税を将来の国際課税の有力な方向性として提示しているが、前回数値例で見たように、仕向地主義課税は仕向地=消費国に税収が偏ることから、各国が合意するハードルはかなり高いように思った。それよりも、配賦基準(分割要素)を巡る争いはあれども、定式配賦の方が、生産地国、消費国双方に所得が配分されることになり、現行の「基本的には生産活動を行う場所に着目」*3する法人税からの「より穏便な移行」となることから、合意の余地はまだあるように感じた。

需要がなければそもそも価値は生まれないのだから、需要地=消費地が重要であることはもちろん事実ではあるが、一方で、需要は喚起されなければそもそも存在しないという側面もある。たまたまいま読んでいる日本版『WIRED』の元編集長、若林恵さんの「さよなら未来」(岩波書店)の中に、編集者が「未知だったマーケット」を立ち上げることについての以下のような文章がある。

…未知の読者群っていうのは、未知なものなので数値としては出てきてないものなんです。数年前に『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(岩崎夏海ダイヤモンド社)って本がヒットしましたけど、本が出る前に、あらかじめ「野球部の女子マネージャーがドラッカーを解説してくれたらいいなあ」と思ってる読者がいたわけじゃないですよね。むしろ、この本が出たときに初めて『お、これこそおれが読みたかったものだ』と意識するわけです。(P.473-4)

同じような例で、よく引き合いに出されるが、正確な引用ができないものとして、アップルのiPhoneもある。iPhoneが世に問われるまで、誰もiPhone(のようなもの)が欲しいとは思っていなかった、でも一度触れたら多くの人々がその虜になった…。

繰り返しだが、消費地が重要なのはその通りで、人口が多い、その人口の可処分所得が多い、という消費地はどんな企業にとっても魅力的ではあるけれども(その意味で、LSAの議論におけるマーケットプレミアム的なものはあるのかもしれない)、それを活かせるかどうかは結局のところ、供給側である企業の「企画」の魅力とその実現性にかかっているのであって、需要と供給は相互作用であると言える。

であれば、法人課税も、現在のような源泉地課税(生産側に着目)、今回取り上げた二つの論考が将来的な姿として予想する仕向地課税(消費側に着目)のような片一方のみに課税権を与える方法ではなく、需要側・供給側の双方に税収を配分する定式配賦という方法の方が納得性は高いように思った。

まだ仕向地主義課税を十分に理解できていないだけのような気もするが、現時点ではここまでとしたい。

最後に「さよなら未来」から再度引用。

じゃあ未来なるものをもう少し原理的なところから考えてみようということになると、それはどうしたって現在を考えることになるし、それがどうやってかたちづくられたのかを考えようとするとどうしたって過去と向き合うことになる。『WIRED』という、いかにも「未来志向」に見えるメディアのなかでやっていたことは、実際はそういうことだった。(「S君のことー謝辞」)

 

 

*1:鈴木将覚先生の「法人税はどこへ向かうのか?」( 証券税制研究会編「企業課税をめぐる最近の展開」日本証券経済研究所、2020年、第7章(pp.173-206))

*2:南繁樹先生の「国際課税の潮流ー『東インド会社』、『文明の衝突』、『アフターコロナ』」(『租税研究』2021年2月号、pp149-188)

*3:金子宏監修「現代租税法講座 第4巻 国際課税」日本評論社、2017年所収、増井良啓「第1章 国際課税の制度設計」P.20

移転価格税制と仕事と私――どこへ向かうのか?(1)

移転価格税制分野を中心とした仕事を担当し始めてから数年になる。

幸いなことに、新たな仕事に興味を持つことができて、仕事の時間中はもちろんのこと、仕事の時間以外でも移転価格税制のことを考えたり、専門書を読み漁ったり、本では満足できずに論文にも手を出してみたり、果てはこのようなブログを書くまでに至っている。

しかし、このブログを書く過程で、徐々に現在の移転価格税制そのもの、及び現在の移転価格税制の根幹である「独立企業間原則」に対する信頼が揺らぐと言ったら大袈裟かもしれないが、絶対視できないという感覚を抱くようになってきた。相変わらず、業務の中では税務を専門としていない社内部門に対して、移転価格税制の怖さであるとか、「独立企業間原則」をさも当然のように語らないといけないのであるが、これがやや苦痛に感じられる、というか、自分自身がもやもやしている感情を押しやるのが苦しく感じられるようになってしまった。

それに輪をかけるのが今回取り上げる以下の2つの論考である。これを読むと、近い将来に、今自分の仕事の中心となっている移転価格税制が終わりを告げる時が来るのではないか、という思いに駆られる。一言で言えば、「とても面白い」のだが、自分の仕事はもう不要なのだろうか、という感を強く抱いた。「移転価格の実務研究」をテーマにしている本ブログであるが、視座を上げ、興味の幅を広げていきたい。

 

法人税の方向性についての2つの論考

今回取り上げたい論考の一つは、鈴木将覚先生の「法人税はどこへ向かうのか?」( 証券税制研究会編「企業課税をめぐる最近の展開」日本証券経済研究所、2020年、第7章(pp.173-206))。(以下、論考①)

もう一つは、南繁樹先生の「国際課税の潮流ー『東インド会社』、『文明の衝突』、『アフターコロナ』」(『租税研究』2021年2月号、pp149-188)。(以下、論考②)

いずれも題名から推測されるように、移転価格税制に特化した論考ではなく、より広く、経済のグローバル化・デジタル化が進展していく中での将来的な法人課税のあり方を考えるもの(後者は講演がベース)であり、現時点の自分では理解しきれないことが多々ありながらも、大変刺激的で、勉強になることばかりであった。とりわけ興味深いのは、どちらも「将来的な法人課税のあり方」 として、「仕向地主義課税」が想定されていることである。

  • グローバル化・デジタル化といった経済の変化に対応できる法人税を突き詰めて考えていくと、最終的には仕向地主義課税に行き着く。このため、法人税は長期的にはグローバル化・デジタル化を背景として仕向地主義に向かうことになるであろう。(論考① p.204)
  • …長期的な予想として、国際課税制度は仕向地主義の方向に向かっていくように思われます。(論考②p.164)
  • 東インド会社」(多国籍企業)、「文明の衝突」(中国、インド)、「アフターコロナ」(巨大財政支出)が国際課税を仕向地主義的な付加価値税に押し流しているのが国際課税の潮流であり、その現れがデジタル課税の議論ではないか…。(論考②p.169)

 

では、「仕向地主義課税」とは何か。  

以下は論考①の「Ⅱ.仕向地主義の法人税(DBCFT)」(p.175-178)からの要約メモである。

Ⅱ. 仕向地主義の法人税(DBCFT)

  • 法人税が実質的に源泉地主義となっていることによって、租税競争や租税回避が引き起こされているが、仕向地主義をとるVATは、国境調整(輸出免税+輸入課税)を使い、経済のグローバル化にうまく対応できている。
  • この仕向地主義を法人税に拡大するという発想がDBCFT(Destination Based Cash Flow Tax)。これを導入すると、各国の税収を決めるのは「自国での最終消費」であり、生産地での利潤ではなくなる。
  • 現実の政策としては、①所得税(法人・個人)の減税、②VATの増税、をすることで達成可能。一部、この方向にすでに向かっている、という見方もできる。
  • 移転価格の操作は意味をなさなくなるという大きなメリットがある。一方、消費人口が少なく、輸出ビジネスが大きい国では税収不足となる。

 

■仕向地主義を数値例で

仕向地主義を理解するのに、上記論考①の説明だけで十分なのかもしれないが、自分の理解がかなり不足しているので、より具体的に、数値例で考えてみた。*1

<前提>

下図の通り、それぞれ日本、X国、Y国に所在するA社、B社、C社は同一多国籍企業グループ傘下にあり、A社が原料を生産、B社はそれを仕入れて中間材を生産、C社はさらにそれを仕入れて完成品を生産し、Y国内でグループ外得意先に販売する。

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<数値例a: 現行の法人税

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<数値例aから確認できること>

  • 「法人利潤が源泉地で課税され」ていること。(論考①、p.175)「基本的には生産活動を行う場所に着目している。」*2
  • Y国法人税率が低いと、C社に所得を移転することがグループ全体の法人税額を引き下げることになるため、グループ内で移転価格を操作する(B社→C社の800の売上価格を700に引き下げる)動機となること。

<数値例b: 仕向地主義課税>

  • 数値例aとの違いは、国境調整、すなわち、輸出免税・輸入課税を追加し、国境調整後の各社所得に法人税が課されるようにしたことである。
  • b-1のB社を例にすれば、輸入500、輸出800なので、国境調整としては「-800」「+500」を加えている(表中ではこれをネットして「-300」と表示)。

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<数値例b及びabの比較から確認できること>

  • 国境調整を行うと(b)、法人税額は仕向地であるY国のC社に集中すること(a-1とb-1の比較)。
  • 国境調整を行うと、Y国法人税率が低く、C社に所得を移そうと、移転価格を操作しても、法人税額を引き下げる効果は出ない。(b-2とb-3の比較。)
  • 輸入国=仕向地(Y国)の税率が低いと、輸入国=仕向地で税額が発生するので、グループ全体にとってトータル税額はやはり下がる。(b-1とb-2/3の比較。)しかし、生産国と違って、仕向地=消費国はグループにとって自由に選べるものではない。

 ■まとめ

上記数値例で確認できることをまとめると、以下の2点になる。

  1. 仕向地主義課税においては、移転価格を操作することは、国境調整、すなわち輸出免税・輸入課税によって意味をなさない。
  2. 仕向地主義課税においては、税収の配分は消費地に集中する。

 

一旦、今回はここまでとして、続きは後日としたい。

 

*1:数値例は2017年3月30日の日本経済新聞の「経済教室」での星岳雄「トランポノミクスの行方① 国境調整税、各国税制に影響」における数値例を参考にさせて頂いたが、加工してしまっており、正しい理解のためには当解説記事そのもの、ないし論考①をご参照頂きたい。

*2:金子宏監修「現代租税法講座 第4巻 国際課税」日本評論社、2017年所収、増井良啓「第1章 国際課税の制度設計」P.20

日本からの各種支払い時の外国法人の課税関係(勉強)

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仲谷栄一郎・井上康一・梅辻雅春・藍原滋共著「国際取引と海外進出の税務」税務研究会出版局を教科書として、外国法人が「日本において何らかの活動をする場合にどのような課税関係が生じるか」(P.26-27)について勉強した。

これは「外国側当事者だけの問題だけではなく、源泉徴収義務の有無などの形で、日本側当事者にも大きな意味があ」る(P.27)ものであり、特に自らの業務の中で典型的に生じる日本親会社から海外子会社への支払いを行う以下のケースについて、本書に基づいて「考え方の型」を身につけたいと考えた。

<前提>

・日本親会社(P社)が米国子会社(S社)へ以下の支払いを行う。

・S社は日本にPEを有さない。

①P社からS社への利子の支払い

②P社からS社へのロイヤリティの支払い

③-1 P社からS社への業務委託料の支払いーS社による役務提供が米国で行われる場合

③-2 P社からS社への業務委託料の支払いーS社による役務提供が日本で行われる場合(数日間)

④P社がS社から購入した製品についての、P社からS社への仕入れ代金の支払い

 

以下が本書を読んで自分の理解のためにまとめた結果である。(本記事に限らずであるが、記述に誤りがある場合はすべて自分の理解不足によるものなので、本書そのもの、あるいは該当条文にあたって頂きたい。)まだまだ、初歩の初歩なので、引き続き勉強していきたい。

■ステップ1 :所得税

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■ステップ2:法人税

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■国内税法による課税関係のまとめ

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■ステップ3:租税条約/結論

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PE勉強の続き②

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前回は仲谷栄一郎・井上康一・梅辻雅春・藍原滋共著「国際取引と海外進出の税務」税務研究会出版局の第2編「第1章 恒久的施設とは」(P.392~408)を読みながら、国内税法での定義と、日米租税条約の定めを対比させながら、自分の理解のためにまとめてみたが、国内税法、日米租税条約には登場しない「サービスPE」について勉強する。

 

今回の教科書は、増井良啓・宮崎裕子著「国際租税法(第4版)」東京大学出版会。第5章「外国法人・非居住者の事業所得に関する申告納付」の「5-3 PE概念の意義と限界」に以下の説明がある。(P.100)

「PEなければ課税なし」のルールの下では、国内でサービスが提供されていても、PEがなければ、外国企業の事業所得に課税できない。これに不満を持つ国々は、一定の場合にPEがあるとみなすいわゆるサービスPEの規定を租税条約に盛り込むことを要求する。

実際に日中租税条約の該当箇所を見てみる。納税協会連合会「租税条約関係法規集」清文社より引用。英語、日本語の順番で。

Article 5 

5. An enterprise of a Contracting State shall be deemed to have a permanent establishment in the other Contracting State if it furnishes in that other Contracting State consultancy services through employees or other personnel--other than an agent of an independent status to whom the provisions of paragraph 7 apply--provided that such activities continue (for the same project or two or more connected projects) for a period or periods aggregating more than six months within any twelve-month period.

第5条(恒久的施設)

5 一方の締約国の企業が他方の締約国内において使用人その他の職員(7の規定が適用される独立の地位を有する代理人を除く。)を通じてコンサルタントの役務を提供する場合には、このような活動が単一の工事又は複数の関連工事について12箇月の間に合計6箇月を超える期間行われるときに限り、当該企業は、当該他方の締約国内に「恒久的施設」を有するものとされる。

例えば、日本企業の社員が中国において、6箇月を超える期間に渡って「コンサルタントの役務を提供する場合」には、PEを有すると判定され、当該日本企業は中国において企業所得税を課されることになる。ここでは以下2点に注意が必要と思われる。

  1. 日本語版では「工事」に関連するコンサルタントサービスに限定されているかのようにも読めるが、英語版では「工事」という言葉は登場しない。consultancy servicesとしか述べておらず、期間の判定方法における判定の単位もprojectとされているのみである。なぜprojectが「工事」になるのかわからず、紛らわしい(「工事」だと建設PEの範囲であるかのような印象を抱く)が、「解釈に相違がある場合には、英語の正文による。」と日中租税条約に規定されているので、「工事」という概念は無視でき、「コンサルタントサービスの役務」は限定なしに対象になると理解した。
  2. 「12箇月の間に合計6箇月」という期間についての定めは、英文版ではsix months within any twelve-month periodとなっている。"any" twelve-month periodなので、暦年上の1年に限らず、「連続する12箇月間のうちの6箇月」ということになると理解した。

最後に、サービスPEからは脱線するが、上記サービスPEにおける「6箇月」という期間による判定は、日中租税条約第5条における建設PEの規定でも同様となっており、前回記事における国内税法・日米租税条約の建設PE規定での定め(12箇月を超える場合)よりも短縮されていることにも注意が必要となる。引用は上記同様、納税協会連合会「租税条約関係法規集」清文社より。(英文は省略。)

第5条(恒久的施設)

3 建築工事現場又は建設、組立工事若しくは据付工事若しくはこれらに関連する監督活動は、6箇月を超える期間存続する場合に限り、「恒久的施設」とする。