移転価格税制の実務研究ノート

移転価格税制の勉強の過程。実務のヒントを探しています。

2024-01-01から1年間の記事一覧

委託契約とはリスク引受契約

以下の前回記事の続きとして、藤澤鈴雄「移転価格課税における本質的問題」『租税研究』2009年9月P.276-296のなかの、移転価格税制におけるリスクの概念について書かれている部分を読んでみたい。 tpatsumoritaira.hatenablog.com 独立企業間のリスク引き受…

アドビ事件のおさらい②(リスクの負担から考えると…)

この記事の続き。 tpatsumoritaira.hatenablog.com 同じ改変事例(以下の商流図)で考える。参照文献及び文献番号も前記事を引き継ぐ。以下に再掲。 ①藤枝純・角田信広著「移転価格税制の実務詳解(第2版)」中央経済社(特にP.158~164) ②海老原宏美「独立…

移転価格はリスク負担が10割か?

「国際税務」2023年9月号におけるジョーンズデイ法律事務所 井上康一先生の「移転価格税制についての素朴な疑問23 無形資産取引について何に留意すべきか(5)」にて参照されている論文、小森敦「海外論文紹介 リスク・コントロール、DEMPE機能とR&Dサービス…

残余利益分割法とリスクの負担

以下の3つの文献をもとに、残余利益利分割法の適用を巡って争われた日本ガイシ事件を題材に、残余利益分割法について、実務を中心に勉強してみたい。(すでに一度文献①をもとに考えてみたが、文献②③も拝読し、再度考えてみたい。) 文献①:田島宏一、西村憲…

独立企業間価格の立証責任

「国際税務」2023年12月号の外国法共同事業 ジョーンズ・デイ法律事務所 弁護士 井上康一先生の解説記事「移転価格税制についての素朴な疑問26 移転価格文書化制度にはどう対応すべきか(1)」にある以下の記述(Ⅲ2(4)(a))は当然のことなのかもしれない…

複数年度データ②

この記事で書いたことの続きを考えてみたい。 tpatsumoritaira.hatenablog.com 上記記事では、検証対象法人の利益率を単年度/複数年度のどちらの損益を用いて算定するか、そして比較対象取引も同様に単年度/複数年度のどちらを用いるか、なので、以下4通り…