移転価格税制の実務研究ノート

移転価格税制の勉強の過程。実務のヒントを探しています。

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

取引コストと移転価格

■取引コスト 松岡真宏著「持たざる経営の虚実」(日本経済新聞出版社)において、松岡さんは「『持たざる経営』や『選択と集中』という、ある種の減量経営的なスローガン」(P.3)に対して、「経済学者のロナルド・コースの『取引コスト(Transaction cost)…

「創って、作って、売る」の上位に位置するもの

前回の記事の続きだが、別の観点から少し付け加えたい。 三品和広著「戦略不全の因果」(東洋経済新報社)の第4章「戦略の核心」は以下のような問題提起から始まる(P.102)。 企業の業績は、どのようにして決まるのであろうか。一般に企業の中では、何千人…

「創って、作って、売る」のどこに課税すべきか

■ 「創って、作って、売る」と「創る」偏重 三枝匡著「V字回復の経営」(日経ビジネス人文庫)には事業の原点として「商売の基本サイクル」という概念が登場する(P.136~138)。事業の原点は「商品やサービスを顧客に買っていただくこと」であり、会社は「…

角田信広著「BEPS移転価格文書の最終チェック Q&A100」(中央経済社)

BEPS最終報告書を受けた日本の平成28年度税制改正における新しい移転価格文書の最初の提出が2018年3月以降、行われることになるタイミングである2017年12月に出版された本書では、その最初の提出に向け、各国税務当局の関心を引いてしまう「落とし穴」(P.1…

伊藤雄二・萩谷忠著「Q&A 移転価格税制のグレーゾーンと実務対応」(税務経理協会)

題名の通り、実務上悩ましいケースを取り上げて、それに対して回答をする、という形式で構成されている。初心者の最初の本としては難しすぎると思うが、実務上、直面する問題が多くなってきてから手にとると良さそう。自分自身の業務で直面するケースと似た…