移転価格税制の実務研究ノート

移転価格税制の勉強の過程。実務のヒントを探しています。

その他国際税務

外国子会社合算税制の初歩の勉強

前回の記事で、外国子会社合算税制(以下、CFC税制)について、経済産業省の「第4回 デジタル経済下における国際課税研究会」の事務局資料P.27を引用掲示した。この資料がわかりやすかったことに触発され、CFC税制の初歩をもう少し勉強したい。 他の記事でも…

経済産業省「デジタル経済下における国際課税研究会」の中間報告書を読む(Pillar Two勉強用メモ)

経済産業省が2021年8月19日に「デジタル経済下における国際課税研究会」の中間報告書(以下「中間報告書」)を公表している。当研究会は「経済のデジタル化が加速する中、我が国企業の競争力強化及び経済活性化に資する公正な国際課税の在り方を検討するため…

Courseraを受講する③(CSRと租税回避)

前々回、前回と2回続けて、Courseraの Rethinking International Tax Lawという講義を受講したことについて書いた。今回はこの講義で、Tax planning & ethical dimensions(タックスプランニングと倫理的な側面)という6週目(最終週)のテーマの必読文献と…

Courseraを受講する②(Apple Case)

前回の記事で、Courseraの Rethinking International Tax Lawという講義を受講したことを書いた。そのなかで、4週目のTransfer pricingの講義の中に、アップル社の租税回避が取り上げられたApple Caseという小トピックがあり、解説動画に続けて、以下3点の…

Courseraを受講する①

www.coursera.org Courseraという様々な大学のオンライン講義を提供しているサイトで、ある方が講義を受けられた経験を書いておられるブログを拝見して、税務に関連する講座はないか検索をしてみた。この時見つけた講義が、ライデン大学のProf. Dr. Sjoerd D…

ガブリエル・ズックマン著「失われた国家の富――タックス・ヘイブンの経済学」(NTT出版)

本書の原書は2013年にフランスで出版された一般向けの本とのことで、フランスの読者を意識してか、「タックス・ヘイブンの経済学」との副題であるが、焦点が当てられているのはヨーロッパ内のタックス・ヘイブンであるスイスとルクセンブルクである。 個人の…

炭素税の国境調整措置と移転価格税制への波及

2021年4月29日の日本経済新聞に「脱炭素『国境調整』の行方は」と題した記事(記事①)が掲載されたり、同紙5月4日「ニュースがわかる」では「加速する脱炭素 排出量取引の機運」という解説記事(記事②)が載るなど、カーボンプライシングを巡る議論が活発化…

「情報の歴史21」から読み取る国際税務の流れ

少し脱線します。 松岡 正剛 (監修), 編集工学研究所 (著, 編集), イシス編集学校 (著, 編集)「情報の歴史21: 象形文字から仮想現実まで」(以下、「本書」)を購入。アマゾンの紹介文からの抜粋は以下の通りで、簡単に言えば、日本史・世界史を跨った500ペ…

移転価格税制と仕事と私――どこへ向かうのか?(2)

前回の記事の続き。 tpatsumoritaira.hatenablog.com ■将来の法人課税のもう一つのあり方 前回の記事の論考①*1には、今後の法人課税のあり方として、仕向地主義課税とは別の方法も提示されている。このブログでも過去に言及したことのある「定式配賦」(フォ…

移転価格税制と仕事と私――どこへ向かうのか?(1)

移転価格税制分野を中心とした仕事を担当し始めてから数年になる。 幸いなことに、新たな仕事に興味を持つことができて、仕事の時間中はもちろんのこと、仕事の時間以外でも移転価格税制のことを考えたり、専門書を読み漁ったり、本では満足できずに論文にも…

日本からの各種支払い時の外国法人の課税関係(勉強)

仲谷栄一郎・井上康一・梅辻雅春・藍原滋共著「国際取引と海外進出の税務」税務研究会出版局を教科書として、外国法人が「日本において何らかの活動をする場合にどのような課税関係が生じるか」(P.26-27)について勉強した。 これは「外国側当事者だけの問…